2010年4月に設置した人間健康学部では、開設以来、在学生に対して専門的教育を行う一方で、堺市民に対して健康で豊かな生活を享受できるよう、各種の支援・連携事業を展開し、積極的な地域貢献を行ってきました。その実践を踏まえて、2014年4月に人間健康研究科(修士課程)を設置。人間の健康(health)と健幸(well-being)に寄与する高度専門職業人を養成し、同分野の研究者のための基礎教育を展開してきました。
人間健康学部と人間健康研究科は、これまでの大学と地域の関係のあり方とは異なる、地域貢献型の学部・研究科として設置しており、堺市や周辺自治体との密接な連携のもとに、専門教育ならびに各種の支援・連携事業を展開する新たな大学のあり方を提案し、実績を上げてきました。
さらに、2016年4月に博士課程後期課程を新たに開設。本学部と修士課程(2016年4月から「博士課程前期課程」に変更)の地域貢献の実践を踏まえて、実践的で地域貢献型の性格を有しながら、これまでの学部の教育目的を継承しつつ、より高度な研究教育を行うことを目的としています。
少子高齢化が進むわが国においては、医療・介護や社会福祉に関する深刻な課題が山積しており、国や行政だけで解決することが難しくなっています。私たちが健康で幸せな生活を送るためには、これまでの「国や行政にしてもらう」受動的な意識から、「自己で健康を管理する」能動的な姿勢に転換し、さらには「地域社会で健康づくりに取り組む」創造的な生活の営みへとパラダイムシフトをする必要があるといえるでしょう。予防的対応として運動・健康スポーツを取り込んだ生活文化の振興、科学的根拠に基づく健康増進事業の発展、幸福を共有できる地域コミュニティの構築などは、これからの日本が社会全体で取り組むべき課題となっています。
こうした時代の要請に応える形で、2014年4月、人間健康研究科は誕生しました。身体活動や運動の普及と健康スポーツを促進する研究者や、幸福の形を構想できる地域福祉の研究者の育成、そして、同時にそうした研究成果を地域社会で実行できる高度専門職業人の養成を通じて、現代社会が直面する課題に正面から取り組み、解決へと導くことをめざします。
人間健康研究科の特色は、既存の体育・スポーツ系研究機関が主な目的としてきたスポーツの競技力向上だけでなく、身体活動や運動とスポーツを通じて人間の健康や幸福の促進を重視するところにあります。さらに地域福祉の活動にも貢献することを追求します。これは2002年に制定された「健康増進法」、2011年に制定された「スポーツ基本法」の理念とも通じており、ヘルスプロモーションとスポーツプロモーションの2つの観点から健康で幸せなくらしについて考えていきます。
また、もう一つの特色はキャンパスがある堺市と密な連携を行うところにあります。2010年4月、大阪府堺市に誕生した人間健康学部は、開設以来、堺市民と健康で豊かな生活を共有するためにさまざまな支援・連携事業を展開し、積極的な地域貢献活動を行ってきました。人間健康研究科においても、堺市との種々の地域連携事業において著しい成果を挙げてきたこれまでの実績を土台として、修士課程の実習科目「地域連携課題実習」や博士課程後期課程の「課題解決プロジェクト型インターンシップ」等において、緊密な連携を図っていきます。