1月25日(土)に、すこやか教養講座(第10期)の第1回を開催いたしました。
講 師:関西大学人間健康学部助教 松阪崇久
テーマ:「動物の育児からヒトの子育てを考える」
近年、子育てを取り巻く環境が大きく変化してきたことから、どのように子どもを育てればよいのかについて悩む状況が出てきています。今回は、アフリカのタンザニアで長期にわたって野生のチンパンジーの生態の記録・観察を続けてきた松阪崇久先生から、ヒトに一番近い動物と言われるチンパンジーの子育てと比較しながら、人間の育児の特徴を考えてみました。
チンパンジーは雌が複数の雄と交尾をするために誰が父親か分からない社会となっており、母親がひとりで子どもを育てるという特徴があります。母親だけで子育てができる理由として、子どもをひとりだけしかもうけず、4~5年間の離乳期を越えると子どもはひとりで活動するために、子育てに対する母親の負担が大きくないことが挙げられます。
逆に、チンパンジーと比べると人間の子どもは未熟な状態で生まれてくる上、社会で独り立ちするには15年以上と非常に長い期間が必要となるため、母親だけでは育児の負担が大きいことから父親や社会が育児に参加する必要があるといえます。
動物としてのヒトという観点から人間の形作る社会とその中での育児のあり方について、改めて考える貴重な機会となりました。